社会福祉法人 誠光福祉会

“やりたかったこと”
“もう一度やりたいこと”
を私たちと


懐かしい我が家・地元への帰省

U様はいつも「一回家に帰らなあかん」と、話されている方でした。
ご自宅は、えんゆうの郷からすぐ近くの町内です。
ご家族様の「元気なうちに自宅へ帰らせてあげたい、近所の人に会わせたい」との思いから、U様の外出を企画しました。

 
ご自宅へ帰る日が来ました。
自宅にて久しぶりに息子さんに会われ、笑顔になられました。
そして、仏壇に手を合わされ、仏壇横に飾ってある旦那さんの遺影を見て「男前やな~」と仰っていました。

自宅にて談笑された後、
かつて毎日の様に通っておられた商店に立ち寄りました。
ミカンとカステラを買われ美味しそうに召し上がられていました。
馴染みの店の方もよく来てくれはったと大変喜んでおられました。

 
その後はU様のお家の農園の作業所に移動し壬生菜の選別風景を見られました。
途中でお孫様が来られ「ばーちゃん」と声を掛けられ、すぐに「Hさんかと思ってびっくりしたわ」と仰いました。
息子さんがせっかくだからとU様の弟さんも電話で呼んで下さり、この日は、1日ご家族や地域の馴染みの方々と出会われ喜ばれていました。
施設での生活からすると、非日常にみえますが、これがU様の少し前の日常なのだろうと感じました。


「お家へ帰りたい」と仰る方は、当たり前ですが、沢山おられます。
時に私たちは、家に帰りたい理由は何なのだろう?と、考えます。
しかし、家に帰るのは、当たり前の事で、「理由なんてない」そう感じました。
さまざまな理由で、家で暮らすことが困難になられた入居者様は、住み慣れた家を見たい、少しの時間でも帰りたいという思いを持っておられることがほとんどだと思います。
そのお気持ちを共有出来た上で、えんゆうの郷で、少しでもその方の家での暮らしに近い状態になるよう、これからも支援していきます。